農協男
津波古の棒術は,勇壮かつ男性的で内外に知られており,南城市佐敷の民俗無形文化財に指定されています。
通称「棒」と呼ばれ,太平洋戦争前は字の年中行事の一つとして,旧暦7,8月に披露されました。
約300年余りの伝統を誇る津波古の棒術には集団で行う「ゼー巻ち」と一人棒(チュイボウ),二人棒(タイ棒),三人棒(ミッチャイ棒),四人棒(ユッタイ棒),五人棒(グゥニン棒)があり,一人棒には舞方(めーかた)があります。
中でも四人棒,五人棒の演武は県内でも他に例がなく,津波古独特の棒術です。
村落で伝承されてきた棒術は,豊年祭,あばしばれー(虫除け祈願祭)など,聖域所,御獄,拝所,公民館で行われる民俗行事の中で披露されました。
棒術は踊り的要素を持つものと武的要素を持つものとに大別され,中でも踊り的要素を持つ,舞方は護神と深い関わりあいを持っています。
祭事などの幕開けに安全祈願や厄払いと言った意味を込めて「かぎやで風」の中の一つで「いじみそーれー舞方」の楽曲に合わせ,祝席などで披露されています。
津波古の棒術は,昭和45年(1970年)の大阪万博に県が出し物として出場,好評を博し,県内各地で棒術が見直され,掘り起こされる契機になりました。
その後,昭和63年1月に“津波古棒術保存会”を結成し,津波古区内の年間祭事や那覇祭り,尚巴志マラソン,世界のうちなーんチュ大会など活動の舞台が広がるにつれ,古武術を思わせる型と技には一段と磨きがかかり,そのダイナミックで躍動感あふれる演武で多くの人を魅了し,文化の町「南城市佐敷津波古」の名をさらに輝かせています。
現在,20人余りのメンバーが毎週1回津波古公民館に集まり,先輩の指導のもと熱心な稽古を続けています。津波古区で育った若者らが,戦火をかいくぐった「財産」を継承しています。